矢埜愛茉特集|1億円で始まった2年半と、引退の日に本人が並べた「これから」
※本記事にはアフィリエイト広告が含まれます。当サイトはDMMアフィリエイトプログラムに参加しており、リンク経由で購入された場合に紹介料を受け取る場合があります。
矢埜愛茉
- デビュー年
- 2024年
- 出演作品数
- 33本以上
黒い画面に、白い文字が出る。
待ってて、新しい自分。
矢埜愛茉のデビュー作に入っている一行だ。その周りに並ぶ文字も、どれも一人称で書かれている。「ずっと、葛藤があった」。「性的なことは、隠すものだと思い込んでいた」。「前を見て進んでいく」。配信が始まったのは2024年2月6日だった。
2026年4月28日、本人がXへ長い文章を出した。
レーベルが変わったばかりではありますが、今年30歳を迎え、これからの人生を考えたときに、新しいフェーズに進みたいという想いが強くなりました。
引退の知らせだった。移籍してから、まだ3か月も経っていない。
同じ文章の終わりのほうに、これがどういう引退なのかが書いてある。
AV女優・矢埜愛茉としては一区切りとなりますが、活動自体はこれからも続けていきます。
続けます、で終わる挨拶は珍しくない。この文章には、何を続けるのかまで書いてあった。やりたかったこと、これからやりたいこと。名詞で、順番に。
その一覧を2026年9月に照らし合わせると、ほとんどが実物として存在している。ラジオは毎週更新されている。写真集は2冊目が10月に出る。個展も開かれた。書いたことが、書いた順に並んでいる。
プロフィール
- 名前:矢埜愛茉(やのえま)
- 旧芸名:前田美里
- 年齢:30歳(2026年に30歳を迎えた)
- 身長:146cm
- スリーサイズ:B83・W61・H85(Dカップ)
- 血液型:B型
- 趣味:カメラ
- 出身地:東京都
- デビュー:2024年2月6日
- 所属:SODクリエイト SODSTAR専属(2024年2月〜2026年1月)→ Madonna専属(2026年2月〜5月)
- 通算:33作品
- X:@yano_ema
- Instagram:@yano_ema
出身地と趣味は、DMMの女優データベースには入っていない。空欄のままだ。代わりにこの2つが出てくるのは、デビュー作のほうだった。夕方の室内で、チェック柄の布に包まれた腕と脚が映る。その画面の右側に3行、白い文字が重なる。出身:東京都。趣味:カメラ。身長:146cm。
身体について公式が使う言葉は、2つに寄っている。ひとつは「小柄なカラダで可愛らしくてお喋りなやのえまちゃんに虜になる」。もうひとつは「もっちりした豊満ボディの愛茉ちゃんがエロまみれになっています」。146cmと、それに見合わない厚み。どちらの言葉も、2年のあいだ繰り返し出てくる。
「お喋り」のほうは、本人の自己申告とは少しずれる。
もともと人見知りではあるんですけど、仕事のスイッチが入れば誰とでも話せるタイプ
切り替えれば話せる、と本人は言う。作品に付く言葉は、切り替えたあとの側だけを指している。
33本の内訳は、SODクリエイトが27本、マドンナが4本、レベッカのイメージビデオが2本だ。マドンナの4本にはVRが1本、SOD期にも2本あり、それ以外はすべて出演者が1人の単体作品だ。タグで多いのはドラマ、フェラ、アイドル・芸能人、人妻・主婦の順で、役として与えられた職業の多さがそのまま出ている。
デビュー作の配信が2024年2月6日、引退作の配信が2026年5月22日。あいだの2年3か月半に、33本が入っている。
前田美里という名前をやめてから
中学生が、自分で履歴書を送っていた
2024年1月まで、この人は前田美里という名前だった。芸能の仕事を始めたのは15歳のときだ。入り方について、本人はこう話している。
中学生の頃から自分でオーディション雑誌を買っては、いろんなところに履歴書を送っていました
誰かに見つけられたのではない。自分で雑誌を買い、自分で封筒に入れて送っていた。中学生が一人でやることとしては、手間のかかるやり方だ。そのころの自分について言った言葉は短い。
いやー、今より何も考えてなかった気がします。本当に”ガキンチョ”だったので
2014年、日テレジェニックに選ばれている。その年の顔として日本テレビが選ぶ枠で、前田美里の名前はそこに載った。
その後、芸能の仕事から一度離れて、広告関係の会社に1年勤めた。事務職で、パソコンに向かって資料を作る仕事だった。
毎日同じ時間に出社して同じ作業を繰り返すルーティン化された生活に、だんだん気持ちが暗くなっていってしまったんですよ
同じ時間に出社して、同じ作業をする。それが暗さとして積み上がっていったと言っている。中学生の頃に自分でオーディション雑誌を買っていた人が、決まった時刻に決まった机に着く生活を1年続けた。
会社で一日誰とも話さず、ランチも一人なんてことを繰り返していたら、『私、向いてないのかもしれない』って
一日誰とも話さない。昼も一人で食べる。その積み重ねの先で出てきたのが、この一言だった。会社を辞めたあと、また芸能の仕事に戻っている。グラビアのDVDと舞台が中心だった。
AVへの転身が発表されたのは2024年1月9日で、同時に名前が変わった。出版社が出した告知は、契約金の額を見出しに置いている。
契約金1億円で話題の”日テレジェニック2014”アイドル・矢埜愛茉が1stフルヌード写真集を発売!
1億円という数字だけが、このころ一人歩きしていた。
海と、黒い画面に出る一人称
デビューから11日後、雑誌の取材で、なぜ移ったのかを本人が話している。
芸能活動を13年続けてきましたが、限界というか、もう広がることはないのかなと感じていました
13年というのは、2024年2月時点で本人が数えた年数だ。15歳から数えて13年。その13年の先が見えなくなった、と言っている。同じ取材では、こうも言っていた。
ここ数年でセクシー女優さんが仕事の幅を広げてくださっていることも後押しになりました
閉じたから来たのではない。開いている先があったから来た、という言い方をしている。
デビュー作には、こういう一文が付いている。
自ら芸能界からAVを選んだから、本気でSEXをして抜いてもらいたい。
作品のほうは、そのことを長い時間かけて言う。
白いカーテンの前に、ライトグリーンの半袖ブラウスを着て座っている。この構図が何度も戻ってきて、そのたびに服が同じだ。
同じ部屋の一枚では、目を閉じている。別の一枚には月桂樹をかたどった飾り枠が重なり、中に文字が入る。アイドルの祭典、地上波テレジェニックグランプリ 2014。10年前の受賞歴が、脱いだ作品の中で表彰状のように扱われている。
外の画もある。海と空だけの一枚。白い肩紐のトップスで横を向いて立っている。夕方の海岸には人影が2つあり、波打ち際に並んでいる。青いギンガムチェックのワンピースで歩く後ろ姿は逆光で、輪郭だけが残る。同じワンピースで、暗いところで上を向いて目を閉じている画もある。
そのあいだ、画面には文字が出続ける。ずっと、葛藤があった。性的なことは、隠すものだと思い込んでいた。もっと、欲求を解放したかった。挑戦が私の生きる道なんだ。前を見て進んでいく。
一度だけ、撮っている側が映り込む。手前に黒いレンズがあり、その向こうの白い部屋に、ピンクと白のビキニで立っている。撮られている人が、撮っている道具ごとフレームに入っている。趣味はカメラだと3行のテロップが出るのは、これとは別の場面だ。
夕方の屋上では、ベージュのニットを着て横を向いている。窓際のベッドでは、チェック柄の布を身体に巻いて膝を抱えて座っている。窓の外は夕方の街だ。
黒い画面に白い文字だけが置かれた一枚もあって、そこに「待ってて、新しい自分。」とある。
窓辺の一枚に重なっている文字は「でも葛藤と苦悩があった」だ。窓の外は海で、白い下着のまま、そこに立っている。
暗い青のなかの一枚では、仰向けになって目を閉じ、口を開けている。上に人影がある。
芸能人 矢埜愛茉 AV DEBUT【圧倒的4K映像でヌク!】
FANZAで詳細を見るお気に入りに入れている人が44,510人いる(2026年9月時点)。2番目に多い作品の倍以上で、集まり方がこの1本に偏っている。
そこから、毎月1本
2024年2月から2026年1月まで、毎月1本ずつ出た。配信日は月の上旬に寄っている。24か月、一度も途切れていない。最初に途切れるのは、レーベルを移った月だ。
役名は職業で与えられることが多かった。お天気キャスター、女子アナ、保育士、ホームヘルパー、コンビニのパート、制作部のAD。テレビの現場が舞台になる回も複数ある。
メーカーの自社企画にも繰り返し起用されている。『ロケ帰り相部屋NTR』『洗脳エステ』『SOD女子社員体験入社』。どれも枠のほうが先にあって、そこに毎回この人が入っていた。
『ロケ帰り相部屋NTR』では、こういう設定が与えられた。
地方ロケに来た新人お天気キャスターの矢埜愛茉と撮影スタッフは大雪の影響で急遽現地のホテルに泊まることに。しかしホテルはどこも満室で嫌味たらしい中年ディレクターと最悪の相部屋…普段から矢埜に対して高圧的なパワハラ男。
役名のところに本名が入っている。作中の呼び名を作らず、そのまま矢埜愛茉として現場にいる。実際の作品でも、白いタートルネックと緑のスカートを着たまま進む画が続く。着替えないまま、ホテルの部屋で相手に寄られている。
この作品には、スマートフォンを耳に当てた画が何枚も出てくる。ベッドの上で、茶色いスリップを着たまま耳に当てている一枚。眼鏡の男が胸に口を寄せているあいだも、耳から離していない一枚。そのうちの1枚では、電話を耳に当てたまま歯が見えている。
デビューから1年10か月で、20作品をまとめた総集編が出た。
初の総集編は、デビュー作含む20作品を収録!もっちりした豊満ボディの愛茉ちゃんがエロまみれになっています!
10時間ある。この時点でまだ引退は決まっていない。
この2年のあいだに、AVの外側でも仕事が増えている。ひとつはラジオだった。デビュー11日後の取材で、本人はこう言っていた。
オールナイトニッポンに出るのが夢だったので、いつかラジオ番組の枠を買ってみたいです
枠を買ってみたい、という言い方をしている。出してもらうのではなく、買う。それが2024年2月の話で、同じ年の9月にTBSのポッドキャストで冠番組が始まった。枠は買わずに済んだ。
2025年12月には『水曜日のダウンタウン』の「名探偵津田」に出ている。役は幽霊だった。総集編が配信された翌日のことだ。
エプロンが、脱がれて、また着られる
玄関の扉の内側で、トートバッグを肩にかけたまま抱き合っている。天井の近くに緑の風船が浮いていて、子どものいる家だと分かる。同じ扉に背中を押しつけられている画もある。
その24か月をふりかえって、本人はあとからこう書いている。
作品を通しても多くの経験をさせていただき、苦手だと思っていたことも、作品を重ねるごとに「表現することの楽しさ」に変わっていきました。
苦手だった、とまず認めている。そのうえで、変わった理由を回数に置いた。うまくなったからでも、慣れたからでもなく、重ねたからだと言っている。
この人は自分の性格を、別のところでこう説明している。
毎日刺激を求めてるタイプなんだな、組織に属すのが苦手なんだなって、その時に気づきましたね
刺激好きで、前日の夜に遠征を決める衝動派
前日の夜に予定を決める人が、24か月ぶん、毎月同じ週に1本ずつ納品している。その2つが同じ人の話として並んでいる。
デビューから1年5か月、通算21作目に保育士の役がある。役名は「えま」だ。
息子の担任保育士のえまはこどもから人気だった。
本名がそのまま役に入る作品は、これ1本ではない。お天気キャスターも矢埜愛茉、アイドルも矢埜愛茉だった。名前を貸さずに済んだ役のほうが少ない。
お気に入りに入れている人は20,594人で、デビュー作に次いで多い(2026年9月時点)。
作品の中では、ピンクのエプロンが何度も出てくる。保育園の前で、ベビーカーを押す保護者たちに混じっているときのエプロン。リビングの床に座るときのエプロン。このときはジーンズも白い靴下も履いたままで、相手のほうが先に裸になっている。奥にはベビーベッドと食卓が見えている。
扉が半分開いた画がある。隙間の向こうに鏡があり、そこに立ったままの2人が映っている。手前の壁には額入りの絵がかかっている。直接ではなく、鏡越しに見せる撮り方をしている場面だ。暗い廊下の画もあって、奥の玄関との間の床に、脱いだ服が点々と落ちている。
次にエプロンが映るとき、それは床に落ちている。部屋の真ん中で裸で座っていて、足元にさっきまで着ていたものが脱ぎ捨ててある。周りにあるのはジョイントマットとおもちゃの棚、壁のカレンダー、天井の近くで揺れている風船だ。子どもの生活用品に囲まれた場所で、大人が2人いる。
ジョイントマットの上に座っている画では、周りにおもちゃが散らばったままだ。子どもが遊んだあとの床に、大人が2人いる。手のひらに透明な液体が乗っている一枚もあって、背景には何も置かれていない。
家の中は食卓もベビーベッドもソファもそのままで、床にはジョイントマットが敷いてある。生活の道具しか置いていない場所で、それを使わない用事が進んでいく。
そしてもう一度、エプロンが戻ってくる。ベビーベッドの前で、下に男の顔がある。ピンクのエプロンは、保育園の前で着ていたのと同じものだ。その状態で目を伏せている画と、目を細めて歯を見せて笑っている画が並ぶ。
息子が通う保育園の美人先生と妻子が実家に帰省中に自宅密会をして1週間ヤリまくった絶倫不倫セックス 矢埜愛茉
FANZAで詳細を見る自分の写真集が、作品の中に出てくる
水色のチェックの衣装で、両手を胸の前で合わせている。歯を見せて笑っている。背後には「愛」「茉」「握」「手」の文字が並んでいる。握手会の画だ。
総集編が出る2週間前で、通算26作目にあたる。この作品で何が起きるかは、こう書かれている。
逆恨みしたファンが洗脳エステで支配して自由自在にしていく。まるでセックスドールのように好き放題にハメまくり。
出禁にされたファンが、エステの名目で相手を思い通りにする話だ。そして仕上げに、こうなる。
卑猥な記者会見をやらせて、前代未聞の公開処刑が始まる。
会見も、握手会も、名前を大きく書いた横断幕も、芸能の仕事の道具だ。この作品はそれを全部持ち込んで、全部を逆向きに使う。
壁の前では、男が黒い一眼カメラを構えている。セーラー服を着て、その前に立っている。撮られる画を、撮っている人ごと入れる撮り方は、デビュー作の白い部屋にもあった。
衣装はこのあとも変わり続ける。白いニットを着た一枚では、頭に黒いヘッドホンを着けさせられていて、そのまま口を開けている。
記者会見の場面では、金色のビキニで壇上に立つ。後ろのピンクのボードには自分の名前が刷られていて、正面にはカメラを構えた人間が並んでいる。首に赤い飾りを着けて、マイクの前にいる。
そして、その壇上で本を掲げる一枚がある。胸の前に持ち上げているのは写真集で、表紙に「矢埜愛茉 写真集」と「1st NUDE」の文字が読める。作りものの記者会見で、実在する自分の商品を持っている。
もう一度なにかを掲げる画がある。今度は写真集ではなく、白い書面だ。メイド服のまま、カーテンの前に座って胸の高さまで持ち上げ、口を開けている。文面は読めない。掲げるという同じ動作が、1本の中で2回出てくる。
黒いバンダナの男に抱えられている画がある。金色のビキニのまま、ここでも歯が見えている。
1億円は、カメラに使われていた
作品の中で掲げられていた写真集は、実在する。2024年6月19日に双葉社から出た88ページの本で、撮影は富田恭透。出版社はこう書いて売り出している。
グラビアアイドルや舞台俳優など、約13年間にわたって芸能活動を展開し、日テレジェニック2014にも選ばれたトップアイドル・矢埜愛茉の1stフルヌード写真集。AVデビューに際して、1億円という破格の契約金も話題となった彼女が、その美貌とグラマーなスタイルのすべてをさらけ出す!
本人のコメントも残っている。
新たなスタート、そして、新たな自分を発見できた第二章幕開けの作品です
撮られる側の仕事として、ここまでは分かりやすい。この人は同じころ、逆の側にも回りはじめていた。撮影現場にアシスタントとして入ったときのことを、こう話している。
自分が演者でもあるから、アシスタントとして現場に入ると『私だったらこういうグラビア撮ってもらいたいな』とか『今、ここ撮ってほしいのに!』って、悔しくなることが多い
撮る側に回っても、撮られる側の自分が口を出してくる。悔しい、と現在形で言っている。
一人歩きしていた1億円の行き先は、ここだった。契約金はカメラに使われている。趣味の欄に書いてある2文字が、2年後には現場の肩書きになった。撮りたいものについては、こう言っている。
自分が撮った写真で誰かに喜んでもらいたいし、自分にしかできないことをやりたい
指を口元に当てて、何度もこちらを見る
人差し指を口元に当てて、正面を向いている。目は開いたままで、こちらを見ている。髪はそれまでより赤みが強い。
移籍1本目が配信されたのは2026年3月20日だった。同じ日に、「組織に属すのが苦手」と話した取材記事が公開されている。移籍したばかりの新作と、組織が苦手だという話が、同じ日に世に出た。その5週間あまりあとに、引退が発表される。
この1本のテーマは、1行で言い切られている。
そんな彼女を丸裸にする記念すべき専属1本目のテーマは、マドンナ流「超濃厚ベロキス中出しSEX」だ。
マドンナに移ってから、それまで一度もなかったことが起きている。VRを除く3本とも、中出しが解禁されている。
初めてのゴム無しSEX、初めての中出しに心底溺れる。唾液を交り合わせて、愛液を絡め合わせて、我を忘れて生ハメSEXに没頭する彼女の姿は、まさしくマドンナだった…。
この姿勢が、1本のあいだに何度も戻ってくる。何が起きていても、そのたびに同じ顔に戻る。同じ姿勢の一枚には白い文字が重なっていて、レーベルの名前が入っている。
革張りのソファに座って、正面を向いている。背もたれのボタン留めが規則正しく並んでいて、身体がその中に沈んでいる。別の場面では背もたれの高い椅子に、透けた白いシャツと黒いブラで座る。
黒いレースの下着を着て立っている画がある。何も掛かっていない壁の前で、ストッキングも同じ色で揃えてある。窓辺では同じ下着のまま床に座り、片腕を光のほうへ伸ばしている。逆光で、伸ばした腕の輪郭だけが白い。別のところでは緑のレースを着て、暗い部屋で座っている。
顔だけを寄って撮った画が何度も入る。片目だけのアップもある。透けたシャツのまま髪をかき上げている画がある。四つん這いの一枚では、片目をつぶって口を開けていて、床にオイルの瓶がある。
白いシーツの上で、仰向けのまま腕を上げている。黒いレースの下着を着ている。相手が胸のあたりにいて、歯を見せて笑っている。
2年間、この人は役の名前と役の服で画に入っていた。エプロン、セーラー服、浴衣、タートルネック。この1本で着ているものは、そのどれでもない。
引退作は、旅の記録の形をしている
一度、1か月なにもしない期間を置いてから撮った回がある。『禁欲和服美人』という題で、2025年6月に出た。
その作品では、和服が4種類出てくる。浴衣、羽織、幾何学柄、花柄。どのフレームでも脱いでおらず、着たまま進んでいる。白い羽織を肩にかけたまま、男の手のガラス瓶を見て目を細めている画がある。
引退作でも同じことをしていて、こちらは題に「1ヶ月禁欲明けの24時間」と入っている。最後の1本で、1年前と同じ仕掛けが使われた。
マドンナでの2本目が出たのは2026年4月24日だった。その4日後に、引退の文章がXに出る。
レビューは5件で、お気に入りは4,102人(2026年9月時点)。数えられた人より、置いたまま待っている人のほうが桁で多い。
最後の1本には、こういう一文が添えられている。
表舞台に立ち続けた15年、衝撃のAV転身から2年…門出を祝うラストSEX!!
1年前の『禁欲和服美人』には、こうあった。
矢埜愛茉史上みだらな肉欲SEX解禁で1ヵ月の禁欲後、解放の痙攣汁まみれ大絶頂!
同じ言葉が、最後の1本の題にもう一度入っている。
作品には、旅館と街が出てくる。屋外を歩いている画がある。背景に電車の高架が見える。店の棚の前に立って、白いカップを持って笑っている画がある。棚はぼけていて何の店かは分からない。同じ店の中で、髪を下ろした横顔だけを撮った画もある。別のところでは、店が並ぶ通りで手に食べ物を持っている。
この作品では、撮っている道具が画面の端に写り込む。和室の格子を背にした一枚の右下に、スマートフォンが入っている。デビュー作でレンズが映り込んだのと同じことが、2年3か月後にもう一度起きている。今度は道具のほうが小さい。
旅館では紺の浴衣を着ている。布団の上で仰向けになって笑っている。別の画では和室の格子が背景に入る。別の画では浴衣を肩から落としかけて、腕を上へ伸ばしている。
岩を組んだ露天風呂がある。黒い湯船の縁に肘をついて、濡れた髪のまま両手で水をすくい、口元へ運んでいる。そこで歯を見せて笑っている。石を張った洗い場では、濡れた肌のままうつむいている。石造りの浴室に立って正面を向いている画もある。
白いタオルを腹の上に置いたまま脚を上げている画もある。和室の格子が背景に入っている。
この1本の中身は、こう書かれている。
ひと月の禁欲明け、別れを惜しむ様に24時間、計10発のおかわり巣ごもりドキュメント!!デートしてSEX、休憩のちSEX…3時間超えの超大作ー。
配信が始まった日、本人はこう書いた。
最後の作品、引退作の配信がはじまりました…! 2年半たくさんの作品に関わらせていただいて、引退作は矢埜愛茉の集大成です。ぜひたくさんみていただけたら、そしていつまでも思い出していただけたら嬉しいです。
布団に仰向けになっている画がある。白い布があって、目を細めて歯を見せている。
デビュー作に入っていたのは黒い画面と白い文字だった。最後の1本のほうには、人の顔がある。
紹介文の最後の一文は、こうなっている。
儚くも濃密な引退作…これからも、アナタらしく歩んで欲しいー。
さかのぼって観たい場合は、SODでの2年ぶんが20作品10時間にまとまったものがある。ただしそこにマドンナの4本は入っていない。
やめると書いた日に、並べたもの
引退の文章は、この世界に来た理由をもう一度なぞってから、叶えたことを並べている。
この世界に入った理由の一つである「お仕事の幅を広げ、やりたいことを叶えたい」という想い。この2年半で本当に多くの夢を叶えることができました。
その一覧がこれだ。
やりたかったラジオのお仕事、ご一緒したかった方とのお仕事、海外での活動、さまざまなメディア出演。そして、大好きだった番組に出演できたことも、あの時一歩踏み出していなければ叶わなかったと思います。
同じ取材で、本人はこの2年をもう少し短くまとめている。
グラビアを続けていたら叶わないような仕事が、今たくさんできています
グラビアを続けていたら無かったものが、順番に並んでいる。
「大好きだった番組」が何なのかは、別の取材で分かる。
芸人さんが大好きなので、大きな目標はオードリーさんとお仕事がしたい。今の自分だと『しくじり先生』が一番近いかなと思うので、いつか生徒側でもいいので出演したいですね
芸人が好きだ、と言っている。生徒側でもいい、とも言っている。『水曜日のダウンタウン』に幽霊役で出たのは、その半年ほど前のことだった。番組の公式アカウントは、その日こう書いている。
矢埜さんがセクシー幽霊に…!?
本人のほうは、絵文字1つと番組名だけを投稿していた。Instagramのハイライトには「ヲタ活。」という項目が並んでいる。
そして、これからやることも書いてあった。
これからの30代は、これまでの経験を活かしながら、ずっと好きだったカメラのお仕事や、またお芝居にも挑戦していきたいと思っています。
ラジオは引退をまたいで続いている。毎週金曜の20時ごろに更新され、9月の時点で100回を超えた。番組にはやたらに長い題がついていて、全部でこう書く。
ポッドキャストを初めて聴いて「いいな」と思ったお姉さんがまさか元セクシー女優の #矢埜愛茉??虜になるのは間違いなくラジオライフが変わりそう
題の中で「元セクシー女優」と呼ばれている。本人のリンク集に残っている旧い表記では、ここが「まさかセクシー女優の」だった。1文字ぶん、番組の側が追いかけて書き換えている。コーナーの名前は『愛茉が全部教えてあげる♡』と『エロ川柳』で、回によっては愛犬のムウの話から始まる。アイドルのオーディションを受けた頃の話をした回もある。ある回の告知には「矢埜さんの役者としての一面をお届け」とある。お芝居に挑戦したい、と声明に書いた人が、番組の中で役者として扱われている。
カメラのほうは仕事になった。Instagramのプロフィール欄には、こうある。
矢埜愛茉(やのえま)です。
カメラが好きです。カメラ垢📸 @yn.photo
写真専用のアカウントが別にある。ハイライトには「写真展2026」と「1月11.12.13個展」が並ぶ。3日間の会期を決めて、撮ったものを壁に掛けている。会場のグッズはネット通販にも出ている。1億円で買った道具が、2年でここまで来た。
現場にアシスタントとして入って悔しくなる、と言っていた人が、自分の名前で会場を借りる側に回っている。
2冊目の写真集は2026年10月2日に竹書房から出る。撮影地は奄美大島だ。告知はこう書かれている。
【お知らせ📢】10月2日(金) 2nd写真集『透明な時間』発売📖 奄美大島で撮影しました🏝️
ニュースの見出しは、この本を出す人を「タレント」と呼んだ。
グラビアアイドルからセクシー女優へと転身し、バラエティー番組など多才に幅広く活躍する矢埜
引退の1か月後には、中野でトークイベントをやっている。題は「矢埜愛茉— Thanks Party Next Chapter」で、告知には「\矢埜愛茉お疲れ様会オフ会トークイベント/」とあった。2024年に「第二章幕開け」と書いた人が、2026年に「新しいフェーズ」と書いて、そのひと月後に次の章を名前にしている。
自己紹介のページには、こう書いてある。
SODstar専属→Madonna専属→セクシー女優引退
2024.2.6 debut
引退を、経歴から消していない。矢印でつないだまま、デビューの日付も残したまま置いてある。一方でXのプロフィール欄には、ラジオとカメラとファンクラブしか書かれていない。AVの2年は1行も出てこない。媒体によって、書くことを変えている。
引退から3か月後の8月には、イメージビデオが1本出ている。AV作品ではないので、引退作は引退作のまま残る。題は『Ema2 透明な時間 -Moment Capture-』だ。
9月のXはこうなっている。
今日はFCやのえま組BBQオフ会🍖 雨の中だったけど、とっても楽しかったぁ!
雨の中のバーベキュー、群馬と千葉のパチンコ店、週刊誌に載った写真集のカット。引退から4か月経った人の9月は、こういう予定で埋まっている。
これから先について挙げているものも、撮ることだけではない。
いつか本にしてみたいなという夢もあります
こんな人におすすめ
- 役の服を着たまま進む画に弱い人:エプロンも浴衣もタートルネックも、脱ぐより着ている時間のほうが長い。保育士役では、床に脱ぎ捨てたエプロンをもう一度着てから終わる
- 本人の言葉が残っている作品を選びたい人:デビュー作は一人称の文字が画面に出続ける。引退作は配信当日に本人が「集大成です」と書いている
- デビュー作と引退作を並べて観たい人:170分と217分。片方は黒い画面と白い文字で終わり、もう片方は布団の上の顔で終わる。2年3か月半の最初と最後がそのまま入っている
- 引退したあとも追える相手を探している人:ラジオは毎週続き、写真集も個展も営業もある。やめたのはAVだけだ
まとめ
「待ってて、新しい自分。」と画面に出したあと、その言葉を自分で引き取った2年半。
2024年2月6日に始まって、2026年5月22日に終わった。そのあいだに33本。SODSTARで24か月を一度も落とさず、マドンナに移って3か月で区切りをつけた。
本人はこの期間を「怒涛で濃密な2年半でした」と書いた。デビュー11日後に言った「いつかラジオ番組の枠を買ってみたい」は、7か月後に枠を買わずに叶っている。1億円で買ったカメラは、会場を借りて人に見せるところまで来た。芸人が好きだと言っていた人は、好きな番組に幽霊役で出た。
2026年10月2日に2冊目の写真集が出る。ラジオの次回は10月3日の金曜に更新される。自己紹介のページには、いまも「セクシー女優引退」の6文字が矢印の先に残っている。
無料で流れている動画もあるが、気に入った作品があればFANZAで正規に買うという選び方もある。引退した女優の場合、新作が増えることはもう無い。売上が届く先も、これから増えるものではなく、すでにある33本のほうだ。
デビュー作は7日間のストリーミングが300円から選べる(2026年9月時点)。並べて引退作まで買っておくと、2年3か月半の最初と最後が手元に残る。SODでの2年ぶんをまとめて追うなら、20作品10時間の総集編という入口もある。買える本数は、今日も明日も33本で変わらない。
あわせて読みたい
神宮寺ナオ特集|二重専属で歩む8年目の現在地
神宮寺ナオのプロフィール・経歴・代表作・SNSを徹底解説。Madonna/MOODYZ二重専属、FANZA配信798作品の現在地を整理した。
紗弥佳特集|マスクのままIカップを物語にした元芸能人
Madonna専属の紗弥佳。顔出しNGでデビューしてから1年あまり、中出し・VR・ソープ・マスクオフを段階解禁した代表作と数値を整理する。
篠原いよ特集|30歳・人妻、輝きたくて来た超大型新人
篠原いよのプロフィール・経歴・代表作を徹底解説。30歳の人妻がマドンナ専属としてデビューし、19ヶ月で40作品を世に出した軌跡を、公式コピーと本人の言葉から追う。
MINAMO特集|映画も書く5年半のSODSTAR、2026年12月引退までの観察記録
MINAMOのプロフィール・経歴・代表作を徹底解説。SODSTAR専属5年半・FANZA78本・KADOKAWAフォトエッセイ・YouTubeから2026年12月の引退発表まで、作品の内と外を素材から記録する。
宮島めい特集|100日女優宣言から6年、SODSTARを離れない理由
宮島めいのプロフィール・経歴・代表作を素材ベースで徹底解説。100日間限定デビュー、コロナ留学中止からの復活、NTRとVR分野での評価、90本目に至る現在地まで一次情報で追跡。
SODクリエイト完全ガイド|企画のSODが10,836本で築いた業界№1の現在地
SODクリエイト(SOD CREATE)の沿革・代表作・SODSTAR専属・組織構造を徹底解説。1999年独立、社員80人の制作部隊、マジックミラー号・SOD女子社員・SODSTARが支えるAV業界№1メーカーの全貌。
藤森里穂特集|待たせる芸で残った、遅咲きの現在地
藤森里穂のプロフィール・経歴・おすすめ作品を徹底解説。2020年の人妻企画の駒から、本中・ダスッ!・マドンナと専属を渡り歩いた3年を経て、待たせる芸で残った遅咲きの6年をたどる。
齋齋いつき特集|SNS60万人・SOD初の台湾人専属女優・1年6作の軌跡
齋齋いつき(さいさい・いつき)のプロフィール・経歴・全6作品を素材ベースで徹底解説。SOD史上初の台湾人専属女優、SNS総フォロワー60万人のインフルエンサーが警察官の父にパワポでプレゼンしてAV女優になった軌跡。




